2010年のドラフト会議では早稲田大から斎藤佑樹、大石達也、福井優也の3人がドラフト1位指名された。そして来年、早稲田大から複数のドラフト1位指名選手が誕生するかもしれない。
今季4号ホームラン
早稲田大の3番を打つ3年生の中村奨吾選手が3回にレフトスタンドポール際に今季4号となるホームランを放った。この日は他にも5打数3安打4打点と活躍を見せ、早慶戦を連勝して終えた。
中村選手は天理高校出身で、高校時代は今年東京ヤクルトからドラフト2位指名された法政大の西浦直亨と共に甲子園にも出場した。高校でも大学でも外野手、内野手を守り、外野では50m6.2秒の足でセンターを、内野ではセカンドで堅実な守備を見せる。
リーグ戦では今年春に打率.349を記録すると、今季は4本塁打でホームラン王に、また今年の日米大学野球ではセンターを守り不動の5番打者として出場すると16打数7安打3打点を記録、優勝を決めた第5戦は初回に先制打を放つと、5回にはソロホームランを放って優勝を決めた。
巨人が早くもチェック
中村奨吾選手には、早稲田大OBで阪神に2003年自由枠で入団した鳥谷敬選手クラスと噂され、既にドラフト1位候補という評価が定着している。この日は巨人の柏田スカウトが視察するなど各球団も既にチェックをいれているようだ。中村選手は「打撃では長野さん、ポジションでは井口さんのように走攻守揃った選手になりたい」と話し、早くも「プロに行きたい」と話す。来季には遊撃手を守るという話しもあり、来年は久しぶりに特Aクラスの遊撃手が誕生しそうだ。
早稲田大からは複数1位指名も
この日は中村選手がリーグ通算7号を放ったが、その前に同じく早稲田大3年の小野田俊介選手がリーグ通算8号を放った。小野田選手は早稲田実業では斎藤佑樹投手の後継エースとして期待され、また4番打者としても活躍を見せた。大学でも1年春から外野手として試合に出場すると、2年春、3年春にベストナイン入り、通算打率.335、8本塁打、28打点を記録している。
巨人の柏田スカウトは「体をうまく使って技でスタンドに持っていったホームラン。肩も強いし来年が楽しみな存在。」と評価をしている。おそらく杉山翔大選手(2012年中日ドラフト4位)と同じからそれ以上の評価でプロ入りしそうだ。こちらもプロ入りについて「小さい頃からの夢」と話す。
早稲田大では昨日1安打完封勝利を記録した156km/h右腕の有原航平投手が、来年の大学生の目玉として注目されておりドラフト1位指名は確実と見られている。走攻守が揃った鳥谷2世・中村奨吾選手に、強肩とパンチ力を備えた小野田俊介選手と注目選手が揃う。
伝統の早慶戦で2連勝を飾った早大ナインは、すがすがしい表情だった。12安打で9得点を奪う快勝締め。その中心には3年生コンビがいた。初回、1死一塁から4番・小野田が左越え2ラン。現役最多の通算8号に「きのうは体が前に突っ込んでしまっていたので、重心を低くして臨んだ。上半身の力が抜けて良かった」と笑顔を見せた。
3番に座る中村も続いた。3回、先頭で打席に入ると高めの直球を捉え、左翼ポール直撃弾。今季4本目に「これまでチャンスをつぶしていたので、打たないと4年生を送り出せないと思った」と意地を見せた。ともに来秋のドラフト候補に挙がる右の大砲。小野田が「(プロは)小さい頃からの夢」と話せば、中村も「プロに行きたい」。優勝を逃したシーズンだったが、来季につながるクリーンアップのアーチ競演だった。
力みのないスイングから放たれた白球は、慶大のファンが埋めた左翼席に飛び込んだ。1点を先制した初回1死一塁。小野田が慶大のノーヒッター左腕・加嶋宏毅の137キロ直球をジャストミート。「最近は上体が突っ込んでいた。下半身を使ってバランス良く打てた」と自画自賛の一発となった。
お祭り男の血が騒いだ。現役選手トップを更新する8号は、今年の早慶戦4試合で3本目の一発だ。「お客さんが多いとモチベーションになる。大舞台に強いと言われるのは悪くないですね」とニンマリ。ライバル・慶大戦を今年4連勝に導き、2万人の大歓声を独り占めにした。
うなったのは、観客だけじゃない。ネット裏から見守った巨人・柏田スカウトは「体をうまく使って『技』でスタンドに持っていったホームラン。肩も強いし、来年が楽しみな存在」と182センチ、80キロと大柄ながら巧みな打撃技術を高く評価。来秋のドラフト候補に躍り出た。
高校時代は“佑ちゃん2世”と呼ばれた投手だった。早実2年の2009年春、斎藤佑樹(現日本ハム)と同じ背番号1をつけて、センバツ16強入り。ところが3年夏から長打力を買われ、野手に転向。早大に進み、東京六大学を代表するスラッガーにまで成長した。「プロ野球選手は小さい頃からの夢」と先輩と同じ舞台をバットで目指す。
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